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2023-03-03

2022年度 3月の園長だより

「なつかしい と振り返る時」

年長さん18名が卒園していきます。一人ひとりのこれまでの歩みを振り返ると、本当にそれぞれの道のりがあり、思い起こす度に胸が熱くなってしまいます。学年全体として振り返ってみると、私は彼らが年中さんの時の川遊びをよく思い出します。天候不順が続き、その日も曇りでしたが、なんとか川遊びができそうな天気予報で「雨が降りませんように」と、祈るように出発したのを覚えています。いざ、川に入ってみると、冷たくて少しおっかなびっくりだったけれど、水をかけ合ったり、生き物を探したりしている内にどんどん楽しくなって、川を渡る時も最初は怖がっていましたが、あの手この手で何とか渡ることができました。川幅なんてたいしたことないのに、こども達にとっては大冒険のようで、大声を出したり、大笑いをしながら楽しみました。その様子をご近所のおじいちゃんおばあちゃんが見に来られて「こども達の声はいいねぇ。元気が出るよ」とニコニコしながらおっしゃっていただいたのがとても印象的でした。「なつかしいなぁ…」と、私の中ではとても良い思い出として残っています。こども達の心の中にはどんな思い出が残るのかな、大きくなってどんな振り返り方をするのかな…、心の中をこっそり覗いてみたい気がしてしまいます…。

「なつかしい(ノスタルジー)」という感情を音楽であったり、匂いであったり、ふとしたきっかけによって引き起こされる経験は皆様もお持ちだと思います。近年、ノスタルジーについての研究も進んでいるそうですが、「なつかしい」と思うときは往々にして「寂しい時」「抑うつ状態にある時」に多く感じるとの報告もあるようです。そして、「なつかしい」と感じると、人は「社会的きずな」、「自尊心」、「ポジティブ感情」が高まることも心理学的に明らかになっているようです。つまり、なつかしい思い出は人の心が危機に直面すると引き起こされやすく、傷ついた心を癒していく、とのことなのです。人間は感情の動物ですから、人と人との関わりの中で傷つくことが多くあると思います。その自浄作用として昔をなつかしく想いながら心を癒すとは人間はなんて面白い生き物なんだ、と思いました。そう考えると、幼児期を過ごす日々がどんなに大切かということ改めて感じ、こども達の心の中に何を残してあげられたのか、やはり気になってしまいます。

さて、今年の年長さん達を語るうえで避けて通れないのが「コロナ禍」です。卒園間近になってやっと出口が見えてきた、というところですが、彼らが年少さんになった2020年4月、5月は園で皆と共に生活することができませんでした。それからずっと今までの間「コロナ」は私たちの生活の中にありました。こども達にとって「コロナ禍」はネガティブな思い出として残ってしまうのでしょうか。つい先日、日本保育学会から「コロナ下における保育と子どもの育ちを考える~予備調査から明らかになったこと~」が送られてきました。その報告の中でとても興味深かったのが、保育の工夫として「行事中心の保育をやめて、こども主体に変更した」「戸外遊びを増やした」「少人数活動を増やし、一斉活動を減らした」と回答した園の割合がいずれも75%を超えていた、ということです。同じような取り組みをしている園さんが多いことに嬉しく思いましたが、私の実感としてもコロナ下だったから楽しくなかった、とはこども達も思っていないのではないか、と感じています。むしろ、分散を求められる中で、こども達の興味関心から日々の保育を構築し、こども達の充実した一日につなげる機会になったのでは、と(期待も込めて)思っています。

「なつかしさ」のイメージの中には人が登場するそうです。人とのつながりの中で、自分は何を考えて、どんな行動をしていたのかも思い起こされるとのことです。幼稚園時代を「なつかしい」と感じたときに、「大切にされていた」「愛されていた」ということも同時に思い出して欲しいと願っています。みんなと出会ってから積み重ねてきた一日一日が「なつかしさ」へつながっているのですから、今はただ、みんなとつながり、心の中を温かくして卒園へ向かってほしいと思います。思い出として何が残るのかは後になってわかること。気にはなりますが、あまり詮索しないようにしたいと思います。年長さん達と過ごす残された日々、わずかとなってきましたが、先生たち、年中さん、年少さん、こりすさん、保護者の方々、皆さんとのつながりの中で楽しく過ごしていきたいと思います。

(園長 横山 牧人)

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職員室


教材が置いてあります。

りす


3歳児クラスのお部屋。

フリールーム


預かり保育、礼拝、健康体操など多目的に使います。

うさぎ


3歳児クラスのお部屋。

お庭


5月にはグミの実が、夏から秋にかけて野イチゴが採れます。

きりん


4・5歳児の縦割りクラスです。

園長室


園長がお仕事をしています。

こひつじ


地域の親子が遊べるお部屋です。

ぱんだ


4・5歳児の縦割りクラスです。

こどもトイレ


壁紙も木の扉も先生の手作業できれいにしました。


のぼる子ども多数。下にはスギのウッドチップ。

ポスト


のぼるところ。宝物などをしまうところ。

ブランコ


ブランコを片付けるのは年長さんの証です。

こうさぎ・こりす


2歳児と満3歳児クラスのお部屋。