2026年度 7月 園長だより
「ぼくを みて」
「先生、見て見て。」
おそらく毎日1回は、こども達から言われる言葉です。この短い一言には、「自分を見てほしい」「自分の存在を受け止めてほしい」という、こども達のまっすぐな願いが込められているように感じます。
先日、フリースクールの先生からお話を伺う機会がありました。さまざまな理由で学校へ行けなくなったこども達は、勇気を振り絞ってフリースクールへ通ったり、新たな居場所を探したりしながら、自分らしく生きようと懸命に歩んでいます。周囲の大人は、「新しい居場所が見つかってよかった」と胸をなで下ろすかもしれません。しかし、その子たちの心の奥には、「ぼくはここにいるよ」「ぼくのことを忘れないで」「ぼくは、いなかったことになりたくない」という、言葉にはならない切実な願いがあるのだそうです。そのような小さな心の声に、私たちはもっと耳を澄ませなければならない‥。そんなお話を伺い、深く心を動かされました。
2019年に公表されたOECDの「ラーニング・コンパス2030」では、こども達が力を伸ばし、学びを深めていくためには、「心理的安全性」が大切であることが示されています。
心理的安全性とは、間違えても笑われないこと、自分の意見を安心して話せること、困ったときには助けてもらえること、そして何より、「あなたはここにいていい」と感じられること等をさすと思います。そのような安心感に包まれているからこそ、こどもは失敗を恐れず挑戦し、自ら学び、自ら考える力を育んでいくことができるようになるのだと思います。特に5歳児以下のこども達にとっては、安心して過ごせる集団の中で、一人ひとりが互いの存在を認め合い、発言する機会や役割を持てるような小集団で生活することが、学びや育ちの土台になると考えています。
ところで、幼いこどもたちの中には、ときどき不思議なお話を聞かせてくれる子がいます。
「わたし、自分でお父さんとお母さんを選んできたんだよ。」
「空から見て、このお家がいいって決めたの。」
そのような話が本当かどうかを確かめることはできません。しかし、その言葉に耳を傾けるたびに、私は「あなたが生まれてきて本当によかった」「あなたは大切な存在なんだよ」と伝えてほしいという、こどもたちからの願いのようなメッセージが込められているように感じます。
先日、つくし組でも、そのようなお話をお母さんから聞かせていただきました。改めて一人ひとりの命の尊さや、生まれてきたことを心から喜び、受け止めてもらうことの大切さを思い、深い感慨を覚えました。
こども達は、一人ひとりがかけがえのない存在です。だからこそ私たちは、どの子も「ぼくはここにいていい」「わたしは大切にされている」と心から感じられる園でありたいと願っています。こどもが安心できる場所は、保護者の皆さまにとっても安心できる場所です。そして、その安心は、こども達の未来へとつながっていきます。
「ぼくを みて。」
その小さな声を聞き逃すことなく、一人ひとりの存在を大切に受け止めながら、こども達が毎日笑顔で過ごせる環境を、これからも保護者の皆さま、そして地域の皆さまとともにつくり続けていきたいと思います。一人ひとりの命が『生まれてきてよかった』と思えるような園であり続けること。
それが、私たちの何よりの願いです。(園長)

























