2024年度 5月の園長だより
「いのちのかがやき」
2025年に大阪・関西万博がおこなわれますが、青梅幼稚園はモザイクタイルアートで万博のプロジェクトに参加いたします。作ったモザイクタイルは「いのちを高める」ことをテーマとした、シグネチャーパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」の壁面に装飾される予定です。この取り組みへの参加は、あまがさすの森を通じて知り合った元小学校教員の方からお誘いをいただいたことがきっかけでした。「強さ大きさの象徴ではなく、ひとりひとりの弱さ、小ささ、少なさに目を向け、その輝きや価値を開くこと。特定の誰かの力ではなく、みんなが想いを持ち寄り、みんなで創ること」というコンセプトに魅かれて参加を表明いたしました。
先日、仮園舎の北側、青梅総合高校の田んぼで遊ばせていただきました。水をはる前なので一面れんげ畑の田んぼの中で、こども達は嬉しそうに駆け回っていました。大きな綿毛のたんぽぽを見つけて「雪の結晶みたーい!」、てんとう虫を見つけて嬉しくて「てんとうむし、空まで飛んでいくー!」、アマガエルも見つけて「会いたかったんだよ~」と、まさにいのちに囲まれた環境の中、こども達の遊ぶ姿はきらきら輝いていました。このようなこども達の姿を見ていると、大人も気分が上がってきます。いつも以上に汗びっしょりになって遊んでしまいました。大阪万博クラゲ館のテーマ「いのちを高める」ってこういうことなのかな、と思いつつ、こども達も先生達も一緒になって楽しむことができました。
ルソーの有名な著書「エミール」の中にこんな言葉があります。
「生きること、それは呼吸をすることではない。活動することだ。」
こどもにとって活動することは遊ぶことですから、生きることは遊ぶこと、とも言えると思います。しかし時として、遊びの活動範囲が拡がるにつれ、大人の目には困ったことと映ることも起こるかもしれません。いのちに危険がある場合は、こどもを叱ることも必要なときがあると思います。ただ、この時期のこどもの特徴として「叱られても失敗しても、すぐそれを忘れる」という長所を持っています。「言ってもきかない」…と嘆くことはありません。こども達は失敗や叱られたことを「忘れる力」があるからこそ、小さな失敗を繰り返すことができます。小さな失敗の繰り返しは「とりかえしのつかない失敗」を避けるためにどうしても必要な要素です。ですから、大人の目に困ったことが起きてもグサッと忘れることができないような厳しい言葉はこどもにかけるべきではないと思っています。委縮して、意欲や自信のない子になってしまうからです。いい子にしている時にかわいがるのはもちろん良いことです。けれども我が子のことで、困ったとき、悩みの多い時にこそ、愛してあげることが大切です。こどもは愛されることでいい子になるのですから。
こども達にはいつも、そのいのちを輝かせてほしいと思います。それぞれの輝かせ方で、それぞれのいのちを明るくし、青梅幼稚園がその集合体として大人もこどもも「いのちを高める」ことにつながったら素敵だと思います。5月は親睦の季節でもあります。良い関係性を築き、皆様のいのちが高まりますように。今月もよろしくお願いいたします。(園長)