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2022-02-02

2021年度 02月の園長便り

「こどもの世界をどう見るか」

先日、健康体操の北洞先生から“子どものからだと心・連絡会議” (NGO団体)が出した「子どものからだと心白書2021」を紹介されました。その中でも特に「子どもの体のおかしさ実感調査」が話題となりました。5年ごとに行われている調査なのですが、幼稚園児・保育園児を対象とした「“最近増えている”というからだのおかしさの実感ワースト5」で1位が「保育中、じっとしていない」だったというのです。1990年から1位は「アレルギー」が多く、2位と3位は「すぐ「疲れた」という」・「皮膚がカサカサ」 が入れ替わりするという結果で2015年から「背中ぐにゃ」がランクインしてきていたのですが、2020年に一躍トップに立ったのが「保育中、じっとしていない」…。私は強烈な違和感を感じました。白書の中にも「低年齢のこどもはそもそも落ち着きがないことを考えると、少々意外な結果です。」と書かれてありますが、この違和感で私の中にモヤモヤが広がりました…。

津守 真先生の著書「子どもの世界をどう見るか ~行為とその意味~」の中に「落ち着きがないという概念的な理解」という項目があります。本から少し引用しますと、「いろいろの人のところに立ち寄って歩き回る行動を「落ち着きがない」ということばで理解する時、その子供の行為の全体を、あるがままに見ることが困難になる」と書いてあります。要するに一面的な行動にすぎない歩き回る行動がその子全体を代表するものとして「落ち着きがない子」と大人がとらえてしまうと、その子への理解は難しくなってしまう、ということを述べられているのだと思います。行動は心の表現ですから、「落ち着きがない」ことも心の何かを表現していると理解する必要があるよ、と津守先生は教えてくれています。

ここで少し、最近の青梅幼稚園でこども達が遊んでいる時の様子を簡単にいくつか挙げてみたいと思います。

・ミニーマウス(木彫り)の頭部リボンが取れてしまい、こども達と修理している最中、「……ミッキーでよくね?」
・3~4人の小さい子たちがずーっとぐるぐる同じところを走って、一人がわざと転ぶ、みんな転ぶ、みんなで大笑い、また走って、また転ぶ、みんな転ぶ、また大笑い、これを延々と繰り返す。
・年中男子に「ここ修理中だから触らないように見張っておいて、お願い」。「うん!いいよ!」。戻ってみると、こども達が一列に並んでいて、見張りを頼んだ子は近くの木の上に……。

重要なのは、これらの発言や行為の後、私たち大人がどのようにこども達と接していくのか、だと思います。面倒くさいの?危ないよ!ちゃんとやってる!?と大人側から見た一面をつい言ってしまいがちですが、まずは“ありのまま”のこども達を見ようとすることが大切です(もちろん重大な危険を伴う場合は例外です)。「理解の仕方が変われば、こどもとの関係も変わる」とは津守先生のお言葉。「落ち着きがない子」も、ありのままの姿を一生懸命見てくれる人がいたら「落ち着かない」という一面的な見方ではなく、心の動きに注目した様々なこどもの姿が浮かび上がってくると思います。そして、そのような大人の理解によって次第にその子は落ち着いてくるのだと思います。ですから「保育中、じっとしていない」はこどもの側の問題ではなく、保育者側の問題なのだと思います。ここに私のモヤモヤの正体がありました。

2021年度も残りわずかです。ありのままのこども達の姿を一生懸命見て、よく理解してあげられるように日々の保育を大切に過ごし、進級・進学へとつなげていきたいと思います。

(園長 横山 牧人)

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教材が置いてあります。

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4・5歳児の縦割りクラスです。

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こうさぎ・こりす


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