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2023-07-03

音楽の日講師 森の音楽家 金井隆之先生よりご寄稿いただきました

今年度から、森の音楽家として「音楽の日」を担当しております金井隆之です。昨年、青梅市内に引っ越してきたばかりですが、自然豊かな環境に囲まれて新鮮な毎日を過ごしています。

あまがさすの森での「音楽の日」は梅雨入り前の1シーズン目を終えまして、子どもたちの眼差し、発見、変化に驚きを感じながら、楽しい時間を共有することができました。

「音楽」という言葉によって思い浮かぶ種々のイメージは(楽器を練習したり、授業や発表会で演奏したり、サブスクで聞いたり、カラオケで歌ったり)、我々の生きる社会において多くの人と体験を共有しやすいように整えられてきた形だと思うのですが、音による発見や感動それ自体は、その形式に必ずしも依存するものではありません。「音楽」と言われて特定のイメージが思い浮かぶ大人たちよりももっと、子どもたちは音の生まれる瞬間、空間、関係性に対して自由に開いているのだと、1シーズン目を終えて感じました。
楽器だけでなく森の中の木や石や水など、「音楽」というイメージに押し込める必要もないほどに、その質感や反応を体いっぱいに体験しながら、音の仕組みや響きの行方を発見し喜ぶその姿に、「音楽家」である自分もまたたくさんの刺激を受けていました。

子どもたちには「音」をきっかけに様々な発見をしてもらいたいのですが、自分の外にある世界への興味と同時に、自身の内側へも関心が向かってほしいと考えています。自分が何を心地よく感じ、何が起こると違った感じ方が湧き上がるのか。周りで「そういうもの」とされている認識や都合に捉われず、自らの心情の機微を時間をかけて味わってもらいたいと思っています。森や川に囲まれた中で、子どもたちによる探究と発見のフィールドを安全に整えること。それが森の音楽家として取り組むべきことだと認識しています。

次シーズン「音楽の日」は9月から始まりますが、今回、幼稚園内で印象深かったことを一つお伝えしたいと思います。登園あるいは退園の際、保護者の方と先生方がお話しされていたやりとりに、お互いの強い信頼が見て取れました。やり取りを眺めていると、その信頼関係の中心には必ず子どもたちがいるのだと感じました。
我々の生きる社会は様々な関係性に「お金」を介在させ種々の線引きをなすことで、円滑な価値交換を成立させています。しかし「対価を払い、サービスを即時受け取る」ことに固執し過度に振り回されてしまうと、緩やかなコミュニケーションや関係性が形成しづらくなると感じます。まして、自然や生き物の絶えざる変化に関わる際には、杓子定規な線引きを行うこと自体がその対象のあり方を歪めてしまうことにつながりかねません。
保護者の方々と園の先生方とのやりとりには、その中心にハッキリと子ども達の存在があるのだと思いました。そこに、お互いの立場に過剰な線引きを求めることなく、日々変化する子どもたちに寄り添おうとする大人たちの柔軟な態度が見られました。それぞれの担う責任や役割を超えて、お互いに何を大事にしたいと思っているのか、子どもたちが育つためにどんな環境を作ろうとするのか、そういった認識が共有されている大人同士の姿を見て、素敵な関係だと感じました。

相互的な信頼と敬意の輪の中に、音楽家として関わることができて嬉しく思います。秋にまたお会いできることを楽しみにしています。

金井隆之HP https://www.kanaitakayuki.com/

 

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職員室


教材が置いてあります。

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預かり保育、礼拝、健康体操など多目的に使います。

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お庭


5月にはグミの実が、夏から秋にかけて野イチゴが採れます。

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4・5歳児の縦割りクラスです。

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ポスト


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こうさぎ・こりす


2歳児と満3歳児クラスのお部屋。