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2021-04-30

2021年度05月の園長便り

「触覚と信頼感」

先日、園庭で遊んでいると「ねぇ、ダンゴムシ、手のひらにのっけて」と言ってきた子がいました。その子は、前から虫は大好きなのですが、触るのが苦手な子でした。「え?いいの?」と言いながら手のひらにダンゴムシをそっと置くと、「わぁ…」と言って嬉しそうな笑顔を見せてくれました。

今年の年間保育目標にも「さわってみたい!」という言葉がありますが触覚という感覚はなかなか面白い感覚器官なのです。例えば、指輪をすると指の皮膚は指輪に触っていますが、常に触っているとは意識していないと思います。洋服もそうですよね。常に服と皮膚が触っているとは意識しないはずです。手のひらにペンを置けば置いた瞬間は触ったと意識しますが、そのままにしておくと次第に触っているという意識は薄れていきます。つまり、触れた瞬間は覚醒し、そのままの状態だと触覚は眠りの状態になっていくとのことなのです。ですから、ダンゴムシを触ることは触覚という側面から見ると非常に面白い虫だということがわかります。始めは丸まっていて、手のひらに置いても触っている感じはあまりしませんが、次第にモゾモゾ動き出すと手の皮膚を通して虫を触っているという感覚が覚醒してきます。丸まり、そしてまた動き出す…このオンオフが触覚を通して面白いと感じるのですね。

こども達が直接触れて、心地よいと感じるのか、不快と感じるのかは、それに触れることがこどもにとって、安心・安定をもたらすかどうかに関わります。触れる対象は当然、物や虫に限らず人やその場の雰囲気である場合もあります。自分の体の皮膚を境界線として、人や物、あるいは場の雰囲気に触れたとき、伝わってくるものはその境界線にとどまらず、体の隅々にまで及びます。刺激が強くていつもいつも覚醒を強いられるような環境や物ばかりでは心の安定にはつながりません。刺激が強い状態が常態化すると意識しなくなって(慣れて)しまいますから、不安定な状態にも関わらず、気づかずに過ごしてしまうことになります。一方で体験の幅を広げる中での適度な葛藤体験はこども達の心を育てる機会となりますので、刺激が無さすぎるのも適切な環境とは言えないのではないかと思います。肝心なのはこども達が今、何に触れて何を感じたのか、を大人が理解してあげることだと思います。もし、触れて不快と感じたとしたら、それはなぜなのか、この子にとって心地よいと感じるとはどういうことなのか、を考えることが大切だと思います。そのためにも、優しく頭を撫でること、そっと手を握ってあげること、時には抱き上げてあげること等の触れ合いを通して、こどもの心情を大人が理解してあげることが、こどもとの信頼関係を築いていくことにつながって行くのだと思います…が…コロナがそれを難しくしています。ここにもコロナが立ちはだかってくるか…と思いつつ、感染予防対策をしっかりおこないコロナに負けず、この4月5月はこども達と信頼関係をしっかり築くことを目標に日々の保育をおこなってまいりたいと思います。

(園長 横山 牧人)

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