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2025-01-31

2024年度 2月の園長だより

「保育の安全」

先日、各クラスの様子を見ている中で、年少さん達がハサミを使っていました。年度当初から比べると、随分安心して見ることができるようになったな、とこども達の成長を感じました。園庭でも朝の自由遊びの中でノコギリを使って木を切ることはみんな大好きで、よくやっていますが、最近ノコギリの動きがスムースになっていることに気づきました。見ていて「危なっかしい」と感じる時が少なくなり、私も一緒にノコギリを持ちながらですが、「安心」して見ていられる時が増えてきていることをとても嬉しく思っています。単に道具に慣れてきた、ということよりも、やはり、両足でしっかり地面をつかみ、体幹が強くなることが安定につながるので、こどもの身体の成長を感じることができるからです。

保育の安全を考える時、私たちは大切なお子さんの「命を預かっている」ことを忘れてはいけません。そしてその命が危険に晒されるリスクを下げる努力を怠ってはいけません。その上でハザード(危うさ)はどこにあるか、と園の内外を見回すと、階段1段でも…、石ころ1つでも…、ハサミもノコギリもいたるところにハザードはあることに気づきます。その全てを排除しようとすることは現実的ではありませんが、どのような考え方が必要であるかを学ぶため、保育の安全に関しての本を読み漁りました。その中で、専門家の掛札逸美先生が書かれた文章を見つけましたので、抜粋してお伝えしたいと思います。

「怪我が起きない方が良いのは当然ですが、人間が2足歩行で生活をしている以上、(大人でも転ぶことはありますから)怪我をゼロにすることは不可能です。(中略)しっかり立ち上がるためには、脚、足首、趾(あしゆび)の強さが不可欠で、何度も繰り返し筋力を作っていくことが不可欠です。そして、こどもは何度でもこれを繰り返します。生き物として繰り返すようにできているわけです。保護者や保育者が横についていたとしても、この過程でこどもが怪我をすることは多々あります。だからといって、この過程を抜かしてこどもをずっと座らせていたり、こどもの腕を持って立ち上がる練習をさせたりすることは、結果的にその後に必要な筋肉の発達が足りなくなることを意味します。(中略)身体の発達にははっきりした順序があります。順序は誰でも同じですが、発達する速度はこども一人ひとりで違います。(中略)ですから、「この子の発達の今」と「この子の発達の次」を見ることが不可欠です。それが、「保育者の専門性」と呼ばれるそのものです。一人ひとりの成長発達段階を保育者が理解して、「次の段階」や「この子が今まだ弱いところ」をわかっていれば、こどもに無理をさせることも、こどもを無理に止めることもしないでしょうから、結果的に「しなくてもいい怪我」は減ります。それでも、こどもが育つうえで避けられない怪我はあります。たとえば、自分一人で歩いていたこどもが、何もない床の上でバランスを崩して転ぶ、かけっこの練習をしていたこどもが曲がる時に足を滑らせて転ぶといった怪我です。そうした怪我の中には「この子の発達の今」や「まだ弱いところ」を理解するための情報がたくさんありますから、「これは予防できなかった怪我」「しかたがなかった」と言うだけでなく、そのこどもの保育・教育に活かしていくための検討には役立ちます。とはいえ、予防自体は不可能です。単純に「怪我をさせないように」することもできず、それをしてしまったらこども達は育ちませんから。(掛札逸美 先生)

自然保育コーディネーターのケロちゃんとも保育の安全について話し合う機会を持ちました。冒険的な活動について、チャレンジするかしないかは、こども自身に決めてもらい対応していくことがリスクを下げることにつながる、とのお話を聞きました。そして、「自然あそびは大人が先に与え教え込むのではない、すべて「自己選択と自己決定」の連続ですね。そんなあそびの環境があることが、やっぱり自然あそびの良さ、こどもがしっかりと自分で感じて選択して判断して行動できる、自分の人生を自分で選択し決定していく力になる、と感じてきました」(ケロちゃん)というコメントをいただきました。園外に出る時は特に現場の状況をよく把握しなければいけません。ただでさえ予測の難しいのが保育ですから、職員同士のミーティングをより丁寧におこない、できる限り、リスクを下げる努力をいたします。そして与えられた環境を保育に活かしていきたいと思います。

一人ひとりの「この子の発達の今」と「この子の発達の次」を理解し、共有することによって保育環境を考え、こども達の「自己選択と自己決定」に対応することよって保育の安全とこども達の成長へと、つなげていけるように職員一同で取り組んでまいります。(園長)

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職員室


教材が置いてあります。

りす


3歳児クラスのお部屋。

フリールーム


預かり保育、礼拝、健康体操など多目的に使います。

うさぎ


3歳児クラスのお部屋。

お庭


5月にはグミの実が、夏から秋にかけて野イチゴが採れます。

きりん


4・5歳児の縦割りクラスです。

園長室


園長がお仕事をしています。

こひつじ


地域の親子が遊べるお部屋です。

ぱんだ


4・5歳児の縦割りクラスです。

こどもトイレ


壁紙も木の扉も先生の手作業できれいにしました。


のぼる子ども多数。下にはスギのウッドチップ。

ポスト


のぼるところ。宝物などをしまうところ。

ブランコ


ブランコを片付けるのは年長さんの証です。

こうさぎ・こりす


2歳児と満3歳児クラスのお部屋。