2020年度12月の園長便り
「Ordinary miracle」
先月10月25日、熊本市 慈恵病院の蓮田太二氏が天に召されました。氏は日本で唯一の施設として「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を始められた先生で、2007年から2020年3月までに155人の赤ちゃんが預けられたとのことです。赤ちゃんポストに対しては安易な育児放棄を助長するという批判も寄せられたそうですが、「捨てられるいのちを救う」との理念で活動を続けられてきました。「安易な育児放棄を助長する」という見方もわからなくはないですが、実際は実に多くの方が、赤ちゃんをポストに預けた後、長時間その場に立ち尽くして動けなくなってしまうそうです。場合によってはその方(お母さん)を保護しなければならない状態の時もあるそうです。自分では育てられない様々な事情があるのでしょう。それこそ安易に責めることはできないのではないでしょうか。赤ちゃんポストの取り組みは世界的にみると多数あります。その中でもドイツの赤ちゃんポストの発祥地は幼稚園なんだそうです。捨てられていいいのちなんてない。どんな赤ちゃんだって神さまからの授かりものですから…。蓮田氏も、ドイツの赤ちゃんポストを始めた幼稚園の先生も、その崇高な理念と行動力に深い感銘を受けました。
さて、幼稚園ではいよいよクリスマスへの取り組みが始まります。年長さんはページェント(聖誕劇)の配役を決めていきますが、去年の年長さんの姿、または役そのものへの憧れなど、その思いは様々のようです。本人の希望通りの役が与えられればいいですが、そうとも限りません。競合した場合は話し合いで決めていくことを重視しています。気を付けるべきは大人の色眼鏡を外して見守るということ。どの子にとってもその思いは特別であり、最大限尊重されるべきだからです。今年の年長さん達はどんなドラマを生み出していくのか、見守っていきたいと思います。
マリアは天使から受胎告知を受け、処女のままイエス・キリストを馬小屋で産んでいきます。非現実的なお話のように思えるかもしれませんが、クリスマスのお話はこども達にとって特別なものだと思います。ですからこのクリスマスの奇跡のお話を私たちは大切にしたいと思います。どんないのちも神様から与えられた奇跡の賜物です。こども達の今までの成長も小さな奇跡の積み重ねです。ありふれたこの日常こそが奇跡そのものと歌うサラ・マクラクランの歌詞を添えつつ、全てのことに対して感謝の気持ちを忘れずにクリスマスを迎えたいと思います。
作詞・作曲 Dave Stewart/ Glen Ballard
(園長 横山 牧人)