クリスマスに寄せて
今年もクリスマスイヴの礼拝に出席してきました。クリスマスに歌われる讃美歌(キャロル)はどれも美しいものばかりですが、昨晩は特に「神の御子は今宵しも(Adeste Fideles)」が心に残りました。教会いっぱいに広がる会衆の歌声はとても美しく、静かな祈りとあたたかな光に包まれながら、心が満たされていくのを感じました。クリスマスという特別な雰囲気も相まって、そのひとときは、言葉にできないほどの幸せを覚える時間でした。
しかし、礼拝を終えて日常に戻ると、私たちの前には変わらず忙しく、時に厳しい現実の生活が待っています。仕事や家事、将来への不安、思うようにいかない人間関係…。クリスマスのあたたかな気持ちが、あっという間に遠く感じられてしまうこともあるかもしれません。
それでも、あの礼拝で感じた幸せは、決して特別な場所や時間にしか存在しないものではないのだと思います。イエス・キリストが救い主としてこの世に来てくださった出来事は、華やかさとは無縁の、貧しく小さな日常の中で起こりました。そのことは、私たちの何気ない毎日の中にも、確かな意味とぬくもりがあることを教えてくれます。
誰もが自分の幸せを願い、また我が子には「幸せな人生」を歩んでほしいと願います。そのために必要な生き方や子育てについて、インターネット・本などを通して多くの情報を集めることもあるでしょう。それ自体は決して悪いことではありませんが、世間の評価(成績、仕事、容姿、お金 等)をあまり気にし過ぎてしまうと、本来の歩みを見失ってしまうこともあります。
忙しい日々の中で、家族そろって食卓を囲む時間、今日あった出来事を話し合う時間、こどもの笑顔にほっとする時間。そうした一つひとつの積み重ねこそが、私たちの生活を支える「幸せな時」なのではないでしょうか。決して長い時間でなくても、特別なことをしなくても構いません。共に過ごし、互いを思いやるその瞬間が、心をあたためてくれます。そう考えると、クリスマスプレゼントは、家族が心を通わせる時間そのものなのかもしれません(…もしかして、夫婦にこそクリスマスプレゼントは必要なのかも…)。
クリスマスの喜びを胸に、これからも日々の暮らしの中で、家族で過ごすささやかな幸せの時間を大切にしていきたいと思います。その積み重ねが、こども達の心の土台となり、未来へとつながっていくことを願っています。
メリークリスマス(園長)

























