大阪・関西万博へ行ってきました。
2024年4月から5月にかけて、青梅幼稚園は大阪・関西万博の「協奏タイルプロジェクト」に参加しました。これは、シグネチャーパビリオン「いのちのあそび場 クラゲ館」の壁面を彩るモザイクアートを全国の参加者が制作する取り組みです。
当園では、当時の年長児とその保護者が、園所有の「あまがさすの森」で作品作りに挑みました。テーマは「いのちを高める」。森の中、さまざまな命に囲まれた環境で親子一緒に手を動かし、「いのち」について考えるきっかけとなることを願いながら制作しました。
「遊びたければ遊んでもいい」という自由な雰囲気の中で進めましたが、意外にも多くのこどもたちが熱心に参加してくれたのが印象的でした。完成した作品がクラゲ館に飾られる様子をぜひこの目で見たいと思い、大阪まで足を運びました。
このプロジェクトに参加するきっかけをくださったのは、あまがさすの森を通じて出会った、元小学校教員のN先生です。N先生は長年、こどもたちに「いのち」や「生きる」ことについて真摯に向き合ってこられた先生です。そのお声掛けに、「きっと素晴らしい取り組みに違いない」と参加を決めましたが、実際には想像以上に壮大で意義深いプロジェクトであったことに驚かされました。
▶ クラゲ館紹介動画:https://youtu.be/h374xhHj2VM
万博開幕までの期間、「地球未来学校」と題したオンライン基調講演や意見交換会が複数回開催され、私も参加しました。その中で特に心に残ったのは、鈴木寛さん(元文部科学大臣補佐官・通称:すずかん)による「卒近代の教育」というお話です。
「現在の日本の教育は、明治以降、工業社会の労働者や管理者を育成する目的で形作られてきました。これを本来あるべき“人間中心の教育”に戻すことが必要です。『卒近代』とは、近代的価値観からの卒業であり、勝ち負けを競わない時代です。強さを競わず、流れに身を任せ漂うクラゲは、その象徴でもあります。」
クラゲ館に並んだモザイクタイルは、まさにその「揺らぎ」を体現していました。輪郭はあいまいながらも、一枚一枚に作り手の想いや物語が込められているように感じられます。森の中で、カニを見つけたり崖を登ったりしながら、何かを感じつつ制作したあの日の姿が思い出されました。
「卒近代の教育」に思いを馳せつつ、ご縁をつないでくださったN先生、そして制作にご協力くださった保護者の皆様に、心より感謝申し上げます。
(園長)