2025年度 4月の園長だより
「自己調整能力」
ご入園・ご進級おめでとうございます。
新年度の始まりを迎えました。春休みの間、私たちは2025年度の年間保育目標を「リアル体験から無限の遊びへ」とし、こども達と楽しい日々を過ごすためにあれやこれやと考えてきました。毎年この時期は緊張感を持ちながら準備を重ねております。新しく入園するこども達、保護者の皆様も期待と不安を抱えながら過ごしていたのではないでしょうか。入園直後のこども達の中には、不安な感情をどのようにコントロールしていいかわからない、といった姿も見られるかもしれません。そんな時は、一人ひとりのこどもに共感し、寄り添った対応を徹底していきたいと思います。そして一日も早く信頼関係を築き、青梅幼稚園が「安心な空間」として認知され、こども達と楽しく過ごせるように取り組んでいきたいと思います。
自分の行動や感情をコントロール(我慢、待つ、など)し、目標達成のために自分を最適な状態に調整する力を「自己調整能力」と呼びます。こども自身が自分をコントロールしていくために(大人がこどもをコントロールしやすくなるために、ではなく)、こども達の発達過程において非常に重要な力です。この能力を獲得する上で注意しなければならないことは、大人が怒ったり厳しくしても効果がない、ということです。まずは共感して、こどもの感情を言葉にしてあげることが大切です。お母さんと離れて悲しい…そんな時は「そうだよね。悲しいよね」と感情を表現してあげます。また、一日の遊び、食事、睡眠などのリズムを一定にして、こどもが自分で行動をコントロールしやすくしてあげることも大切です。そして、そのような日常の積み重ねの中から周りの大人と信頼関係を築くことが自己調整能力の基盤となります。幼児は安心できる大人が近くにいると、感情をコントロールしやすくなるからです。良好なコミュニケーションを通じて、年度初めのこの時期はこども達と信頼関係を築いていくことを一番の目標にしたいと思います。
遊びの中でも自己調整能力は育まれます。私がこども達と一緒に遊んでいて本当に楽しい!と思う時は「予測できない出来事を乗り越える」ことができた時です。「予測できないこと」は遊び込むための重要な要素です。見たこともない虫が現れた時、こどもはじっくり観察します。どんな動きをするのか…どんな形をしているのか…どんな物語をもった虫なのか…、それを知るためには「待つ」ことが不可欠です。また、予測できない問題が起きた時、お友達と協力して解決するには、それぞれが役割りを果たすことが必要になってきます。時には自分を抑え、他者との調和によって問題解決へ向かうことができた時、こども達は本当に輝く笑顔を見せてくれます。このような「予測できないこと」が起こりやすい遊びの環境はどこにあるかというと…それは自然の中にたくさんあります。偶然起こること、予測できないことの中で、探索をし、五感をフルに使って問題解決の方法をこどもたち自身が考えていきます。その中で思い通りにいかないことはたくさん起こります。しかし、森の中はリラックスしたり感情を落ち着かせる効果もありますので、過度な興奮やストレスから解放され感情のコントロールもしやすくなります。体力も使いますので、心身の調和が取れることによっても解決へ向かう原動力になります。今年度も森遊び等、リアルな体験から、どんどん遊びこむ中で自己調整能力を楽しく育んでいきたいと思います。
こども達の成長の方向性は一定ですが、そのスピードは一人ひとり違います。それぞれのペースで進んでいけるように小グループでの活動を大切にしていきたいと思います。そのために、保護者の皆さまにご協力をお願いすることもあると思います。こども達をまんなかにして、ご家庭と園が一緒になってその成長を見守り、共に喜び合うことができますように。
どうぞ、宜しくお願い致します。
(園長)