2023年度 1月の園長だより
「 思想しつつ 生活しつつ 祈りつつ」
今年は元日から、大きな地震により大変な状況が北陸地方を中心に起こりました。コロナ禍も過ぎ、やっとのことで家族の集うお正月が迎えられた方々も多かったでしょうに、本当に心が痛みます。被災された方々のことを覚え、一日も早く平穏な日々が過ごせますようお祈りしております。
先日、健康体操の園内研修について、北洞先生(健康体操講師)と都内の保育園園長K先生とお話をする機会がありました。内容は「先生たちにとって体操の知識もそうだけれど、それ以上に自分の体を動かして自ら感じる体験が大切だよね」、というお話。とても良いお話だったのですがその中で、K先生から学校法人 自由学園の教育のモットーである「思想しつつ 生活しつつ 祈りつつ」のお話も聞きました。私は自由学園の「幼児生活団」出身なので、どこか懐かしさも感じましたが、知識の詰め込みではない真の人間を育てることを大切にする自由学園らしい言葉だと思い、大変感銘を受けました。
青梅幼稚園では、毎学期ごとに園児一人ひとりの成長の様子を職員みんなで共有します。前の学期と比べてキラッと光る瞬間がどの子にもあり、こどもの成長発達の素晴らしさを実感することができます。大人が何かをやらせた結果…ではなく、こどもが自らおこなったことを心の成長と共に先生たちは語ってくれます。そんな先生たちの語るエピソードを聞いていると、保育という仕事は「生活」を一緒にするということが土台にあることを改めて思わされます。「思想しつつ 生活しつつ」…一人ひとりのこども達がどんな様子で、今何を求めているのかを、生活を共にする中からこそ喜びも悲しみも感じることができ、準備していくことができるのだと思います。そしてその方向性が間違っていないか、幼稚園としても歩む道がこれで良いのか、自問自答を繰り返しながら、祈りつつ歩みを進める必要性もあると思っています。
シンガーソングライターの松任谷由美さんは八王子のキリスト教保育の幼稚園出身で、大人になってから幼稚園を訪問した際に作られた曲が「やさしさに包まれたなら」(ジブリ映画「魔女の宅急便」)挿入歌)なんだそうです。♪やさしさに つつまれたなら きっと めにうつる すべてのことはメッセージ♬ 不安や迷いがある時には特に、日常の中にある神様からのメッセージに気づけるように、といつも思います。しかし、今回の震災のように「神様、なんで!?」と受け入れ難いことも時として起こります。被災された方々はそんなことを思う余裕すら無いかもしれません。何もできない自分の無力さを痛感するばかりですが、せめてものこととして、現地の方々へ思いを寄せてあげられたら、と思います。祈りをもって、全国各地からやさしさで包まれたら、いつか前に進む力につながってほしいと願っております。
「思想しつつ 生活しつつ 祈りつつ」…K先生はさらにこんなことも言っていました。
「それらの前に来るものとして『感じつつ』があるんですよ」、と。
その通りだと思います。自分を感じ、他者を感じ、自然を感じながら様々に思いを巡らし、一人の人間として生きていくこと、他者と共に生きていくことの力をこども達の中に育んでいきたいと思います。今学期もこども達をやさしさで包み、感じつつ、思想しつつ、生活しつつ、祈りつつ、保育にあたっていきたいと思います。(園長)