2019年度12月の園長便り
今年のクリスマス ページェント(聖誕劇)の配役が決まったようです。毎年、年長さん達はマリア、ヨセフ、羊飼い、天使、博士、宿屋、の中からどの役がやりたいかを話し合いで決めていきます。ここ数年、博士役が人気のようですが、こども達が昨年の年長さんは誰が何をやって、どんなことがあった、という具体的なエピソードをしっかり覚えているのもページェントの特徴だと思います。年中さんは聖歌隊に、年少さんと満三歳のこども達はひつじになります。それぞれの役を与えられながらも、しっかりと年長さんの姿を目に焼き付けているのでしょうね。このように全園児でクリスマスの物語を演じるのが青梅幼稚園のクリスマス ページェントのスタイルです。
みなさんも今までに「ページェント」という言葉をどこかで聞いたことがあるかもしれません。日本のクリスチャンは日本の人口約1%といわれておりますが、キリスト教系の学校は私立学校の約20%を占めるのだそうです。ページェント(聖誕劇)は多くのキリスト教系の学校でおこなわれていますので、意外とクリスマスのお話は日本の中でも(なんとなく)知られているのではないでしょうか。一方で世界に目を向けるとクリスマスの物語は驚くほど有名であることに気付くと思います。お話の内容も実に意味深く、毎年、心を新たにされる方々は多くいるのだと思います。しかし、それは大人になってからの話です。こども達も同じように感じるとはかぎりません。では、こども達はこの物語をどのように理解しているのでしょうか。
先日、1回目のアドベント(クリスマスを待ち望む)礼拝をしました。馬小屋で生まれたイエスさまの絵を映しながらお話をしましたが、礼拝が終わったあと、小さな満三歳の男の子が「すごいね。すごいね。かみさま…すごいねぇ」と満面の笑みと、ちょっと不思議そうな表情をしながら近寄ってきました。礼拝のお話は「天使と羊飼い」でしたが、その子は赤ちゃんイエス様だけを見て「すごいね」と言っているのです。真剣に、まっすぐに、その一点だけを見つめて「すごいね」と言っている…。私は同じような場面に出会う事が今までも何回かあるのですが、このような時、こども達は赤ちゃんイエスさまに自分を投影しているように思えてならないのです。みんなが喜び、会いたがっているあの赤ちゃん…僕があの赤ちゃんだったら…そんな風に思えてしかたないのです。これはほんの一例で、私の主観も入っておりますが、それぞれのこども達がそれぞれの感じ方で温かさや優しさ、そして自分は愛されているということを学んでくれたら…と思っています。
クリスマスにはプレゼントを贈る風習が世界的にありますが、これは博士さん達がイエスさまに献げものをすることに由来しています。クリスマスプレゼントは何がいいかしら…と考えるとき、贈る相手の事を思いますよね。クリスマスプレゼントを「あげる」、「もらう」、という行為のみに終わらすのではなく、「きみは大切な存在なんだよ」ということを伝える機会にできたら素敵だと思います。親子で、兄弟で、夫婦でお互いの事を思うクリスマスでありますように。そして今年もこども達がたくさんの愛を感じ、温かな思い出として心に残るようなクリスマスとなりますように幼稚園全体で向かって行きたいと思います。
(園長 横山 牧人)