2022年度 04月の園長便り
「無条件の祝福」
新しい年度を迎えました。この一年も皆様と共に、こども達の成長を喜び合うことができますように、と祈りに覚えます。
入園や進級といった節目のこの時期には「大きくなったね」「素敵だね」「おめでとう」等という言葉をこども達にかけることが多くあると思います。この時にかける言葉はお誕生日を迎えた時にかけるそれと同じような響きを持っているように思えます。つまり、何かを勝ち取ったから得られる祝福ではなく、この子が生まれて、いろんなことを経験しながら今、新たなステージに立とうとしている…大きくなったね…おめでとう…という無条件の祝福、そんな思いが込められているように思うのです。
一方で、こども達はこれから始まる自分の未来に対して、恐れや不安を持っているかもしれません。ここは自分を本当に受け入れてくれる幼稚園なのか…この先生はどんな人なのか…と。未知なものに対して不安を抱くのは大人も同じですから、戸惑いの日々が、もしかしたら続くかもしれません。けれども、どんな子もある時、自分で遊びだす瞬間があります。大人の目からは小さなことかもしれません。葉っぱを、花を、虫を、砂を、水を、そして先生の手を、自ら自分の手でさわり、自分の足で立ち上がり、遊び始めるとき、その子らしさが輝き出します。そして、その姿はものすごく可愛らしいものです。私たちは、その小さな心の動きを共に喜びたいと思います。特にこの4月は、動き出したこども達の未来が不安なものではなく、希望に満ちたものになるように日々の保育に努めてまいりたいと思っております。
無条件の喜びから生まれる無条件の祝福は、こどもが健やかに育っていくうえで欠かせない要素だと思っています。自分が愛されていることを知り、この世の中に歓迎されていることを知ることは何よりも重要なことです。自分の存在そのものが喜ばれ、自分はここにいていいんだ、と実感できる時、人生の土台がしっかりと形成されていきます。このことを発達心理学者のエリクソン(1902-1994)という人は「基本的信頼の確立」と呼びました。今年度も保護者の皆様と共に、こども達の人生の土台をしっかりとしたものにしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(園長 横山 牧人)