2021年度 11月の園長便り
「幸せな人生を送るために」
私たちはこどもに幸せな人生を送ってほしいと願っています。幼稚園での保育、ご家庭での子育てはそのためにあると言ってもいいと思います。では、幸せとはどういうものなのでしょうか。お金持ちになること?地位や名声を得ること?…「♬しあわせーってなんだっけなんだっけ…」と歌うCMが昔ありましたが、私たちは何に向かっていくと幸せと感じることができるのでしょうか。
「幸せ」の研究をしている慶応義塾大学の前野隆司先生によると、幸せになるためには4つの因子があると述べられています。
①「やってみよう」因子 ②「ありがとう」因子
③「なんとかなる」因子 ④「ありのままに」因子。
①は、こういう人になりたい!、夢や憧れに向かってやってみよう!と主体的に努力を続けられることがあげられています。人間の欲求の最上位は「自己実現」(マズローの欲求5段階説)とされています。成長を自分で感じながら目標に向かって努力できることは、とても楽しいものですよね。そしてこれらのことは人と人とのつながりの中で起こることなので、②は人から感謝されたり信用されたり自分は他者のために役に立っているという有用感を感じつつ、利己的ではなく利他的に生きることも幸せの要因としてあげられています。さらに③は、そうは言っても社会の中では思い通りにならないことが多いし、逆境におかれる時もあります。その中でもポジティブに考え、前向きに楽しく生きることができることも欠かせない大切な要因とされています。そして、他者と比べないで自分らしさを認め自己受容できる④の因子が満たされると、人は「幸せだ」と感じるようです。
こどもは人と物と環境と相互に関わりながら様々なことを学び身につけていきます。その中でも人との関わり方によってその子の人生がより幸せであるかどうか、影響は少なからずあると思います。では、どんな関わり方が望ましいのでしょうか。早稲田大学名誉教授で社会学者の加藤諦三氏の著書「子どもを伸ばす魔法の11か条 ~アメリカインディアンの教え~」からヒントを得たいと思います。以下の通りです。
・批判ばかり受けて育った子は非難ばかりします。
・敵意に満ちたなかで育った子は誰とでも戦います。
・ひやかしを受けて育った子は はにかみ屋になります。
・ねたみを受けて育った子はいつも悪いことをしているような気持になります。
・こころが寛大な人の中で育った子はがまん強くなります。
・励ましを受けて育った子は自信を持ちます。
・ほめられるなかで育った子はいつも感謝することを知ります。
・公明正大ななかで育った子は正義心を持ちます。
・思いやりのあるなかで育った子は信仰心を持ちます。
・人に認めてもらえるなかで育った子は自分を大事にします。
・仲間の愛のなかで育った子は世界に愛をみつけます。
幼児期のこども達は直接関わる大人の考えや感じ方をそのまま吸収していきます。ですから、私たち大人のこども達への関わり方はこどもの成長に大きく影響していきます。上記のアメリカインディアンの教えと幸せの4つの因子の②については、大人が利己的ではなく、利他的に関わっていくと、こどもは良い方向に育つ、ということをあらわしているように思えます。
これから、運動会・クリスマスと大きな行事が続いていきますが、一番大切なことは、日々私たちがこども達と接する中で、自分も大事、お友達も大事と思えるように愛で満たしてあげることだと思っています。 そしてその小さな積み重ねが幸せな人生へ続いていくことを信じています。(園長)