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2021-09-01

2021年度09月の園長便り

「だいじ だいじ」

夏休み明け、久しぶりに見るこども達の体は驚くほど大きくなっていました。コロナ禍であっても、当然のことながら成長は止まりませんものね。と同時に顔つきが少しお兄さんお姉さんになったかな、とも感じます。こども達のそんな姿を見ることができるのはとても嬉しいことです。さらに7月~8月は5件のご出産がありました。コロナ禍にあって、小さないのちの誕生やこども達の成長する姿は、まさに希望の光だと感じることのできた夏休み明けとなりました。

一方、社会全体に目を向けて「夏休み明け」を見てみると、ネガティブな問題の多い時期であることはよく知られている所だと思います。自殺者増加等の様々な問題のある中、私は特に「人工妊娠中絶に関する学生の相談件数」が気になっています。令和2年の日本における死因上位3位は次の通りです。第1位:悪性新生物(腫瘍)(378,356件)、第2位:心疾患(205,518件)、第3位:老衰(132,435件)。では同じ令和2年の人工妊娠中絶の件数はというと、驚くことに145,340件だったとのことです。日本の死因第3位を上回る数の多さ…それだけの数の望まれない妊娠があったということ…それだけ苦しんだ女性がいたということ…そして生まれかけた生命がそれだけの数、生きることができなかったということ…そんなつらい経験を中学生の少女がしている場合があるという現実…そのようなことが毎年この夏休み明けに起きているということ…。

日本の性教育は世界的に見てかなり遅れているといわれています。実際、私は学校や親から性教育について学んだことは記憶にありませんし、性教育をテーマにした研修会も少ないのではないかと思います。世界各国の取り組みをみると就学前から既に性教育を始めている国は多いようです。特に3歳頃が始めるタイミングに最適と言われているようです。確かに興味関心を持ち始め、さかんに口に出す頃ですよね。そこで、青梅幼稚園では、この夏休みの期間を利用して講師に桜井裕子先生(助産師)をお招きし、「いのちを大切にするための取り組み」をテーマに、性教育を園内職員研修としておこないました。

研修会に先立って「ちんちん」等のこども達の発言に対しての対応や着替えの時の対応、プライベートゾーンについて等々 日々の保育の中で疑問に思っていたことを予め桜井先生には質問として伝えておいたので、講義の中でそれらの問に触れながら話を進めてくださいました。とても深い学びの機会となり、お母さん達とも共有したい内容だな、と思いました。中でも特に印象に残っているのはプライベートゾーンについての話でした。文科省も「生命(いのち)の安全教育」というこども達を性暴力の加害者・被害者・傍観者にさせないための取り組みとして教材を配布しているようですが、禁止事項が多く、若干恐怖を感じるかもしれない内容とのこと。「○○してはいけないよ」という禁止を伝えると同時に、どこならば逆にO.Kなのか(例えば病院での問診、銭湯、家)、をこども達と一緒に考えることはとても大切なこと、とのお話でした。さらに、知られたくない場所、触られたくない場所、は人によって違うのだから着替え時のルール等は先生のみで決めるのではなく、こども達と一緒にルール作りをしていくことが望ましいともお話されていました。これらのお話を聞いていて、「性教育」とは決して特別で特殊な分野の話ではなく、基本的なことを伝えようとしているのだなぁ、と感じました。つまり、「自分を大切にする」ということを伝えようとしていると感じました。自分を、自分の体を大切にすること。そして他人を、他人の体を大切にすることにつなげていくこと。これらのことを突き詰めていくと「人権」を守るという考えに至ると思います。ですから「性教育」は教育の中で目を背けてはいけない大事な分野であると思いました。

この先もし、自分の性器をおふざけ等で遊んでいる子がいたら、「恥ずかしいよ」とか「ばい菌が入るよ」という声掛けではなく、「だいじ だいじだよ」と伝えてあげたいと思います。すべてのこども達が自分を大切にすることができますように。そして、お友達のことも大切にすることができますように。大きくなって、いのちを大切にすることができますように。そのために、私たちは何をこども達に伝えなければならないのか、理解できますように。心から祈ります。

(園長 横山 牧人)

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教材が置いてあります。

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預かり保育、礼拝、健康体操など多目的に使います。

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お庭


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4・5歳児の縦割りクラスです。

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ポスト


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こうさぎ・こりす


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