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2026-02-27

2025年度 3月 園長だより

「埴生の宿」

イングランド民謡「Home, Sweet Home」(邦題「埴生の宿」)は、多くの方が一度は耳にされたことのある曲ではないでしょうか。「埴生の宿(はにゅうのやど)」とは、土壁で作られた家のこと。質素な生活ではあるけれど、我が家こそが最もあたたかく、かけがえのない場所である――そんな心情を歌った名曲です。
私は、谷川賢作氏の編曲によるこの曲が大好きです。父である谷川俊太郎氏の朗読と共に制作されたアルバム『家族の肖像』(初回限定盤)の中に収められた「埴生の宿」は、家族への深いまなざしに満ちています。俊太郎氏は「人生でいちばん大切なものは?」と問われると、いつも「家族」と答えていたそうです。長年、人の心と言葉を見つめ続けてきた詩人の想いを、最も身近で感じてきた賢作氏の音楽は、静かに、しかし確かに心に響いてきます。

3月を迎え、いよいよ卒園の時が近づいてきました。園庭にやわらかな日差しが差し込む中、元気いっぱいに遊ぶ年長のこども達の姿を見つめながら、これまでの日々を思い返しています。泣きながら登園してきた日。思いがけない病気に戸惑った日。仮園舎に引っ越した日。クリスマスで「大好き」を言い合った日。できなかったことが、ついにできるようになった日。森で巨大ミミズを見つけ、びしょびしょになって笑い合った日。どの一日も、かけがえのない大切な時間でした。
この春、年長のこども達はそれぞれ新しい世界へ歩み出します。小学校という新しい環境は、きっと広く、大きく、ときに戸惑うこともあるでしょう。けれど、どうか心に留めていてほしいのです。あなたには帰る場所があるということを。あなたは、無条件に愛されている存在だということを。「埴生の宿」の歌詞が教えてくれるように、私たちの幸せは外側の華やかさではなく、共にいる人とのあたたかな関係の中にあるのだと思います。

約1年前、卒園生で高校2年生の一人の女の子が園を訪ねてくれました。悩みの中にあり、決して順風満帆な高校生活ではありませんでしたが、彼女は心の中に明確な目標を持っていました。その目標に近づくため、週に3~4日、園にインターンとして通い、こども達に愛情を注ぎながら真剣に向き合い、毎日丁寧に日誌を書き続けました。その一行一行から困難を乗り越えようとするひたむきさが伝わってきて、私はその姿に何度も胸を打たれました。そして昨年末、見事に大学合格の知らせが届きました。
華やかで立派な家でなくてもよい。「ただいま」と言えば「おかえり」と迎えてくれる人がいる場所。安心して涙を流し、また笑顔になれる場所。こども達が帰ることのできる、それぞれの「埴生の宿」。それこそが、人生を支える土台なのだと思います。
青梅幼稚園もまた、こども達にとっての「宿」でありたいと願い続けています。ここで過ごした日々が、心の奥に小さな灯りのようにともり続けますように。困ったとき、寂しいとき、その灯りを思い出し、「大丈夫」と自分を支える力となりますように。

卒園は終わりではなく、新しいはじまりです。神さまに愛され、守られながら、一人ひとりがそれぞれの道を歩んでいきます。「埴生の宿も、わが宿」。青梅幼稚園は、いつまでもあなたの「宿」です。 年長さん、卒園おめでとう。
保護者の皆様、これまで温かく支えてくださり心より感謝申し上げます。こども達の未来が、愛と希望に満ちたものでありますように。心からの祝福をこめて。(園長)

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職員室


教材が置いてあります。

りす


3歳児クラスのお部屋。

フリールーム


預かり保育、礼拝、健康体操など多目的に使います。

うさぎ


3歳児クラスのお部屋。

お庭


5月にはグミの実が、夏から秋にかけて野イチゴが採れます。

きりん


4・5歳児の縦割りクラスです。

園長室


園長がお仕事をしています。

こひつじ


地域の親子が遊べるお部屋です。

ぱんだ


4・5歳児の縦割りクラスです。

こどもトイレ


壁紙も木の扉も先生の手作業できれいにしました。


のぼる子ども多数。下にはスギのウッドチップ。

ポスト


のぼるところ。宝物などをしまうところ。

ブランコ


ブランコを片付けるのは年長さんの証です。

こうさぎ・こりす


2歳児と満3歳児クラスのお部屋。