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2026-01-30

2025年度 2月 園長だより

「秘密をもつということ」

児童文学の傑作『秘密の花園』(フランシス・ホジソン・バーネット著)をご存じでしょうか。臨床心理学者・河合隼雄氏が著書の中で絶賛していたこともあり、以前からタイトルだけは知っていましたが、初めて読んでみました。物語は、孤独で周囲から「感じの悪い子」と思われていた少女メアリが、いとこのコリンや自然児ディコンと出会い、荒れ果てた「秘密の花園」をよみがえらせていく中で、心と体の健康を取り戻していくお話です。とりわけ印象的だったのは、メアリが次第に「感じの良い子」へと変わっていく過程でした。その変化の鍵となっていたのが、まさに「秘密の花園」の存在だったのです。こどもが成長し、傷ついた心が癒されていくためには、「自然」と、そして「秘密」を持つことが、どれほど大切であるかを、この物語は伝えてくれているように感じました。

秘密を持った瞬間というのは、どこかドキドキし、ワクワクするものです。最近は寒い朝が増えてきたので、園庭の片隅に秘密の場所を作り、器に水を入れて氷を作る遊びを楽しむ姿をよく見かけます。毎朝、一目散に自分の秘密の場所へ向かい、氷ができていると大喜びで見せてくれるこども達。その表情は本当に輝いています。秘密は本来、自分一人だけが知っているからこそ秘密ですが、誰にも知られずにいると、やがて少し物足りなくなってきます。そこで「内緒だよ」と、誰かと共有するようになります。「二人だけの秘密」を分かち合う関係は特別で、秘密を共有しながら遊ぶこども達の姿は、とても楽しそうです。このように、秘密は自分一人のものでありながら、他者との関係の中でその価値が深まっていく、興味深い存在だと感じます。
一方で、秘密にはさまざまな種類があり、「自分に脅威を与える秘密」も存在します。出生や身体、運命に関わる秘密など、他人には簡単に知られたくないものもあります。誰にも言わないと固く決心していても、長く一人で抱え続けることは、次第に苦しさを伴うものです。やはり大切なのは、その秘密を共有し、同じように悩み、苦しんでくれる共感者の存在です。共有の仕方によって、秘密は脅威にも価値あるものにもなりますから、相互の覚悟と信頼関係の中で、秘密は人を孤立させる重荷ではなくなっていくのだと思います。

二月には、年長さんが最後の森遊びに出かけます。先日、下見のためにあまがさすの森を訪れました。森の中で太陽の光が差し込み、ぽっかりと明るく開けた場所――そこが、私たちの遊び場です。まさに「秘密の場所」と呼びたくなるような、不思議な雰囲気がありました。雨が随分降っていないので、沢の音は聞こえませんでしたが、その代わり、かわいらしい鳥の声が森に響いていました。日常の慌ただしさを抱えたまま森に入りましたが、鳥のさえずりを聞いた瞬間、まったく違う時間が流れ始めたように感じました。そういえば『秘密の花園』の中で、メアリの心の窓をそっと開いてくれたのも、一羽のコマドリでした。自然とのつながりは、いつもささやかな出会いから始まるのかもしれません。
「人は自然から離れると病気に近づく」――これはギリシャに伝わる言葉だそうです。この森で遊び、楽しい思い出を共有した仲間たちが、卒園してからも、ふとした時に森を訪れ、また同じように遊べることを願っています。

「秘密」は、ひそやかに育てられ、親しい人と分かち合われ、やがて多くの人の前に開かれていくものなのかもしれません。こども達一人ひとりの心の中にも、きっと「秘密の花園」があります。それをどのように育て、どのように花開かせていくのか。その過程に欠かせないのが、秘密を共有し、共感してくれる他者の存在です。願わくば、私たちがそのような存在になれますように。そして、こども達一人ひとりが持つ、その小さな花園を、丁寧に寄り添いながらこの先もずっと見守っていけますように。(園長)

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職員室


教材が置いてあります。

りす


3歳児クラスのお部屋。

フリールーム


預かり保育、礼拝、健康体操など多目的に使います。

うさぎ


3歳児クラスのお部屋。

お庭


5月にはグミの実が、夏から秋にかけて野イチゴが採れます。

きりん


4・5歳児の縦割りクラスです。

園長室


園長がお仕事をしています。

こひつじ


地域の親子が遊べるお部屋です。

ぱんだ


4・5歳児の縦割りクラスです。

こどもトイレ


壁紙も木の扉も先生の手作業できれいにしました。


のぼる子ども多数。下にはスギのウッドチップ。

ポスト


のぼるところ。宝物などをしまうところ。

ブランコ


ブランコを片付けるのは年長さんの証です。

こうさぎ・こりす


2歳児と満3歳児クラスのお部屋。