2025年度 12月 園長だより
「待つ」
キリスト教保育の園では、クリスマスへと心を向けていくこの季節を「待降節(アドベント)」として過ごすことが多いと思います。青梅幼稚園でも「待降節(アドベント)」に入りました。この時期特有の装飾である“アドベントクランツ”には、4本のろうそくが立てられており、週ごとに1本ずつ明かりが灯ります。その明かりが増えていくたびに、こども達の表情もどこか変わっていきます。4本すべてに明かりが灯ると、クリスマスがやってきたしるしです。礼拝の日には、「今日は何本目が灯るのかな」とのぞき込むこども達の姿があります。新しい明かりが見えると、小さな歓声があがることもあります。クリスマスを“時間をかけて楽しみに待つ”という体験は、慌ただしい日々の中で心をゆっくりと温かく育ててくれる大切な時間です。また、部屋の電気を消して暗くすると、ろうそくの光やアドベントクランツの輝きは、いっそう美しく感じられます。光を見つめながら静かに過ごすこのアドベントの時期は、こども達とともに、私たち大人の心もまた整えられていく大切なときだと思っています。
さて、この「待つ」という行為には、子育てにも深くつながる意味があります。多くの幼児教育の専門家が「こどもは自ら育つ力を持っている」と語ります。ですから、大人が急ぎすぎたり、先回りしすぎたりすると、その力が育つはずの瞬間を奪ってしまうことがあるのです。「待つ」ということは、こどもを「信じる」ということでもあります。待ってもらえる時間の中で、こどもは自分のリズムで内面を整えていきます。ゆっくり味わうからこそ、自分の好きなことや社会のルールを理解し、心の中で熟成させることができます。
ちょうど今、年長さんたちはページェント(聖誕劇)の役決めの時期を迎えています。しかし、今年はインフルエンザの流行と重なり、思うように話し合いが進みません。登園しているこども達とは、それぞれがどんな思いで役を希望しているのかを丁寧に聞き取り、お休みしているこども達については、ご家庭と状況を共有しながら話し合いを進めていただいています。確かに、スケジュールだけを見れば早く決めたいところです。けれども、こども達の様子を見守りながら、私たちは一つの大切な変化を感じています。それは、それぞれの思いが少しずつ成熟し、互いを思いやる心が育ち始めているということです。どのような結果になるとしても、その過程にこそ価値があります。こども達が心を通わせながら役を決めていく歩みを大切にし、私たち大人もまた「待つ」ことを心に留めながら、そっと寄り添っていきたいと思っています。
アドベントの期間、こども達は「すぐに手に入る喜び」ではなく、「少しずつ近づいてくる喜び」を味わっています。アドベントクランツのろうそくは、一度に4本すべてが灯るわけではありません。週ごとに1本ずつ明かりが増えていくからこそ、クリスマスの出来事がこども達の心にゆっくりと深く刻まれていくのです。
こどもの育ちもまた同じように、急がず、焦らず、その子が持つリズムを信じて待つことに意味があります。再度になりますが、待つ時間とは、信じる時間です。精神科医・佐々木正美先生は、人には良い面とそうでない面があるけれど、その中の「良い面」を信じることこそが、人を信じるということだと語られています。
クリスマスを待つこの季節、ご家庭でもぜひ「急がせる前に、ひと呼吸」してみてください。何かが“できるようになる”その瞬間までの道のりを、どうか楽しみにしてあげてほしいと思います。クランツの明かりが1つずつ増えていくように、こども達の心にも小さな自信が少しずつ積み重なっていきますように。そして、そのように心を整えながら迎えるクリスマスが、各ご家庭にとって喜びに満ちたひとときとなりますように。皆様と共に「クリスマスを待つ時間」を楽しんでいきたいと思います。(園長)
























