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2025-11-01

2025年度 11月 園長だより

「かみさまからのおくりもの」

私はこれまで、こども達からたくさんのお手紙をいただいてきました。一つひとつが大切な想い出であり、どの手紙も大切に保管しています。その中から一つ、数年前に女の子(当時年長さん)から渡されたお手紙についてご紹介したいと思います。ある朝、その子は登園時に、「これ、神様に出しておいて」と手紙を渡してくれました。開いてみると、そこには「かみさまへ だいすき。いつもまもって ありがとうございます。うれしいです。○○より」と書かれていました。純粋でまっすぐな言葉で、神様に感謝と愛を伝えようとしていることの尊さを感じながらも、私はこの手紙をどう扱うべきか悩みました。そこで、当時青梅にお住まいだったキリスト教保育連盟名誉理事の長山先生に相談し、神様からのお返事として手紙を書いていただけないかお願いしました。長山先生は微笑みながらこうおっしゃいました。「神様はお手紙は書きません。でもね――」そして、次のようなお返事をくださいました。「かみさまへのおてがみは おいのりでつたえられます。かみさまは よろこんできいてくださったとおもいます。○○さんのおてがみのごへんじは えんちょうせんせいのおはなしのなかに せいしょのことばとして おはなしされます。」その言葉をいただいた時、私はハッとしました。いつの間にか、こどもにまやかしの「答え」を与えようとしていた自分がいたことに気づいたからです。反省しました。こどもの純粋な祈りや思いを、もっと静かに受けとめること――それこそが私に求められている姿なのではないかと思いました。

小学校の運動会の季節になると、私は毎年、卒園生の姿を見に行くのを楽しみにしています。できるだけ多くの学校を回り、成長したこども達の姿を見ることが、何よりの喜びです。少し前のことになりますが、かつて、運動会をきっかけに学校へ行けなくなり、1年生の途中からずっと欠席していた子がいました。私はその子と年に数回、手紙のやりとりを続けていましたが、数年後、妹さんが同じ小学校に入学したので、妹の応援に行くつもりで運動会を訪れました。お父さんお母さんに声をかけると、「先生!○○、来てるんです。いるんですよ。見てやってください!」と声を弾ませておっしゃいました。案内されて行くと、彼はすっかり大きくなった体で、クラスの児童席に静かに座っていました。こちらに気づいているのか、目を合わせることはありませんでしたが、その姿に私は胸が熱くなりました。「どうして学校に行けるようになったのですか?」と尋ねると、「特別なきっかけは何もないのですが…本人が成長したということなのですかね」と、お父さんとお母さんは穏やかに微笑まれました。

運動会はその性格上「競う」ことがあります。まだ身体発達が未熟なこども達が勝った負けたと一喜一憂する姿は賛否両論あると思いますが、私は決して「望ましい姿」とは思えず、少なくとも優劣につながってはいけないと思っています。ただ、勝ち負けは関係ないと言っても、例えば1番になって喜んでいる子の気持ちまで「関係ない」と否定してしまうのも違うと思います。そこで、年長さん達には「こども会議」を開いてもらうことにしました。みんなで「勝ち負けは関係ない?」をテーマに話し合うと、「みんながそれぞれ楽しめることが一番大事」「神様から『足が速い』をプレゼントされた子もいるかもしれないよね」という声があがりました。前の週の礼拝では「かみさまからのおくりもの」というお話をしていました。一人ひとりが神様から特別な“贈りもの”をもらって生まれてきたという内容です。こども達はその話を思い出しながら、「○○ちゃんは『走るの速い』がプレゼント」「ぼくは『力持ち』がプレゼント」「わたしは『頼りがいがある』かな」「リレーのアンカーは『走るの速い』をもらった人がいいかもね」等と話し合っていました。

「速く走れる子」「力持ちの子」「頼りがいのある子」――どの姿も神様からのすばらしい贈りものです。それは誰かと比べるものではなく、どれもが世界でたった一つの尊い輝きです。あの女の子が神様に宛てた「愛と感謝」の手紙も、学校に行けるようになった男の子の静かな一歩も、すべてはその“贈りもの”のあらわれだったのかもしれません。こども達の中に宿る光は、大人が与える「答え」によって大きくさせようとするよりも、共に見つめ、寄り添いながら育まれていくものだと感じます。これからも、一人ひとりの中に輝くその光を大切に受けとめながら、共に歩んでいきたいと思います。(園長)

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職員室


教材が置いてあります。

りす


3歳児クラスのお部屋。

フリールーム


預かり保育、礼拝、健康体操など多目的に使います。

うさぎ


3歳児クラスのお部屋。

お庭


5月にはグミの実が、夏から秋にかけて野イチゴが採れます。

きりん


4・5歳児の縦割りクラスです。

園長室


園長がお仕事をしています。

こひつじ


地域の親子が遊べるお部屋です。

ぱんだ


4・5歳児の縦割りクラスです。

こどもトイレ


壁紙も木の扉も先生の手作業できれいにしました。


のぼる子ども多数。下にはスギのウッドチップ。

ポスト


のぼるところ。宝物などをしまうところ。

ブランコ


ブランコを片付けるのは年長さんの証です。

こうさぎ・こりす


2歳児と満3歳児クラスのお部屋。