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2025-04-30

2025年度 5月の園長だより

「YouTubeと脳の発達」

先日、ラジオでYouTubeの視聴時間の長さと幼児期の脳の発達関係について取り上げられているコーナーがありました。私は「視聴時間が長ければ長いほど、脳の発達に悪影響がある」、という結論なんだろうなぁ、と思って聴いていましたら、必ずしもそうではない、と語られていて興味をひかれました。問題は「視聴時間」ではなく、「親子の会話」と「睡眠時間」が犠牲になる場合に問題があると指摘されていました。言語発達や社会スキルの獲得に悪影響が出る可能性があるので、放置しないで…とも語られておりました。ちょっとドキっとしますよね。しかし逆に言い換えると、YouTubeを親子で視聴し、内容について親子で会話をし、基本的な生活のリズムが健全に保たれている場合、脳の発達に大きな悪影響は見られないということにもなります。従って、単純に視聴時間の問題ではない、という結論につながりますので、私は「なるほど…」と思わず唸ってしまいました。

 

「3000万語の格差」(著:ダナ・サスキンド)という本の中で、乳幼児の脳の発達に関してのキーワードとして「3つのT」が紹介されています。すなわち、・「Tune in」(注意とからだをこどもに向ける)・「Take turns」(こどもと交互に対話する)・「Talk more」(たくさん話す)です。YouTubeの例にあてはめてみると、こどもがYouTubeを見たい!といった場合、先ず「Tune in」こどもに大人が注意を向け視聴の可否を話し、見るとなったら「Take turns」やりとりの会話を重ねながら一緒に視聴し、「Talk more」内容についてたくさん話す、という事ができれば脳の発達に問題はないということになると思います。こどもが発信元であり、こどもの発信に大人が応え、こどもとやりとりの会話をたくさんする、ということは要するに「こどもがまんなか」な大人とこどもの関係性とも言えるのかもしれません。そのような関係性の下では、慢性的に睡眠不足になるような状況にはならないのではないでしょうか。あくまでも生活の主導権は親子にあり、YouTube等のアルゴリズムに生活のリズムを渡していないからです。

 

幼児期のこども達は言語スキル、社会スキル、感情のコントロールなど、脳の基礎的な機能が急速に発達します。どのように発達していくかは日常生活の中で触覚、嗅覚、味覚、聴覚、視覚の五感を通して直接体験の中から影響を受けていきます。もし、誰とも会話をせず、一人で刺激の強い動画を毎日長時間見ていたとしたら、良くない影響が脳の発達に出るのは容易に想像がつきます。とはいえ、現代の社会の中で、全く遮断して生活することは様々なストレスに晒されることにもなると思います。私はこのような時代だからこそ、自然体験がこども達には必要だと思っています。感受性豊かなこども達が五感をフルに使った直接体験の中で、不思議に思ったり、驚いたり、感動したりしながら育んだ感性はきっとこれから成長する過程において、こども達の人生を豊かにしてくれると信じています。

 

新年度が始まって1か月、新しい関係性の中でこども達は驚くほど積極的にお友達や先生と関わりながら遊んでいます。保育後、先生たちから聞こえてくる振り返りの声も、温かいコメントが多く見られます。4月5月は親睦の時です。ここでの出会いを大切にし、会話を重ねつつ、こどもまんなかの社会を楽しく作っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

(園長)

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職員室


教材が置いてあります。

りす


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預かり保育、礼拝、健康体操など多目的に使います。

うさぎ


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お庭


5月にはグミの実が、夏から秋にかけて野イチゴが採れます。

きりん


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園長室


園長がお仕事をしています。

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地域の親子が遊べるお部屋です。

ぱんだ


4・5歳児の縦割りクラスです。

こどもトイレ


壁紙も木の扉も先生の手作業できれいにしました。


のぼる子ども多数。下にはスギのウッドチップ。

ポスト


のぼるところ。宝物などをしまうところ。

ブランコ


ブランコを片付けるのは年長さんの証です。

こうさぎ・こりす


2歳児と満3歳児クラスのお部屋。