2022年度12月の園長だより
「待降節におもうこと」
「マローンおばさん」という絵本をご存知でしょうか。貧しくても分かち合う喜びを知っているマローンおばさんのもとには、傷つき弱った動物たちが集まってきます。「お前の居場所くらいここにあるよ」と家に入れ、自分の持っているものを全て与え続けますが、やがてマローンおばさんは死を迎えます。動物達の背中に運ばれて天国の門までやってきた時、神様から「あなたの居場所はここにありますよ」と招き入れられる、というお話しです。短い文章と白黒のデッサン画の挿絵によってシンプルながらも「分かち合う愛」のメッセージがよく伝わってきます。11月1週目の礼拝でマローンおばさんのお話をしましたが、こども達もよく聞いてくれていました。
2022年度の教会暦によると、11月27日から待降節(アドベント)に入り、12月25日が降誕日(クリスマス)、翌年1月6日の公現日までクリスマスの季節となっております。今週から待降節に入りましたので、アドベントクランツを出しました。青梅幼稚園のクランツには天使が4人描かれています。礼拝の度に1本ずつ天使の持つ灯が増えていきます。そして4本全てに明かりが灯った時、クリスマスがやってきます。各クラスでもアドベントカレンダーを作る等して、毎日クリスマスが近づくのをこども達と共に楽しみながら過ごします。クリスマスをワクワクした気持ちで待つこの期間は一年間の中でも特に大切にしたい時期だと思っています。
最近、各学年ともクリスマスへ向けた取り組みが始まりました。特に年長さんは待ちに待ったページェント(聖誕劇)の配役決めの真っ最中です。どの子も去年の年長さん達の様子をよく覚えていて「マリアさんは○○ちゃんだった!」「天使さんは○○くんもやってた!ぼく、本当は○○くんのこと好きだったんだよなぁ…」「最初に出てくる天使さんは○○ちゃん」「誰それ?」「知らないの?もっと前の年長さん」などなど、話し合っている様子を見ていると、こどもの発言一つ一つにその子ならではの物語があることに気づきます。ですから、どんな役を選んだとしても、たとえ希望通りの役ではなかったとしても(全て話し合いで役決めをしています)、それはその子の物語の一部ですから最大限尊重して見守ってあげたいと思っています。「ページェントはね、一人ひとりが主役になれるのよ」長山篤子先生(キリスト教保育連盟名誉理事)のお言葉を思い出しました。大人が合理的に手っ取り早く決めてしまうのではなく、こどもがじっくり考えて自分なりの結論が出るまで待ってあげる…、その過程があるからこそ、イエス様のお誕生を喜びながら、みんなが主役のクリスマスへ向かっていけるのだと思います。長山先生はこの12月に青梅から転居なさいます。これまでの交わりの時を感謝しつつ、先生の言葉をしっかりと胸に刻みたいと思いました。
マローンおばさんは傷つき弱った動物たちに物理的な居場所だけでなく、愛も与えてあげました。私たちも青梅幼稚園が単なる空間としてではなく、ありのままのその子の思いも含めた居場所となるように、こども達へ愛を示したいと思います。「神はそのひとり子をお与えになったほどに世を愛された」クリスマスのメッセージです。是非、ご家庭でもご家族みんなで愛を分かち合いながら、クリスマスを待つ時でありますようにお祈りしております。(園長)