2020年度10月の園長便り
違うということは楽しいということ
先日、飯田和子先生をお招きし、園児たちはドラムサークルを楽しみました。必要最小限の言葉とわかりやすい体の動きで、こども達はそれぞれが好きなように太鼓を叩きながらも、ある瞬間に意思が伝達され、音を小さくしたり、大きくしたり、止めたりしていました。自由な活動の中で各個人がサインに気づき、自分の行動をコントロールする無言のコミュニケーションは「楽しい」と感じるとともに「仲間」も感じたのではないでしょうか。年長さん達のドラムサークルの時にこんなことがありました。みんなが好きなように太鼓を叩いていると、ある男の子がサークルの中を踊りながらグルグルと回りだしました。他の子達はその様子をニコニコしながら見つつ、更に楽しそうに太鼓を叩く姿がありました。「もっと踊って!楽しくやろうぜ!」と言わんばかりに。
ドラムサークル終了後、昼食を共にしている時に飯田先生が「青梅幼稚園の子はあの場面で『○○君だけずるい!座ってなきゃだめだよ!』とか言わないのね!」と言われ、ハッとしました。あの光景は私たちにとってあたりまえの日常だったからです。あたりまえじゃないのかもしれない…と思うと、周りのこども達の違いを受け入れることのできる力に感動し、この場に一緒にいられることが何て幸せなことなんだろうと、胸の奥が熱くなるのを感じました。
「発達障害」を持つこども達は脳の情報処理の機能の一部に先天的な偏りが強いということで健常児と「分け」られています。さらに発達障害の中でも自閉症、アスペルガー症候群、ADHD、学習障害、等に「分け」られていきます。細かく「分け」られていくと、それぞれの違いを明確にし、それぞれに対処の仕方、教育の仕方が違うということばかりに目が向いてしまいがちで、同じこどもとしての「仲間」という意識が持ちづらくなってしまいます。ですから先生の日常的なこども達への接し方が「分け」たものでないように気を付ける必要があります。これはどの子に対しても同じことで、それぞれのこどもは個性を持って懸命に自己実現しようとしているということを私たち教師は先ず受容的な態度で理解してあげることが大切だと思っています。言葉で言うのは簡単ですが、これを毎日実践するには大変な労力が必要です。改めて日々の保育にあたる先生たちに感謝の気持ちを持ちました。
「信じること 望むこと 愛すること」
信じられないようなときに、疑わずに信じるのが、信じること。 望むことができないようなときに、希望をもつこと。 愛することができないようなときに、愛すること。 この世の中は私が良いと思うように動くわけではない。 私はその中にあって、生きつつ学ぶ。 津守 真 この頃の日記より |
何歳何カ月でどのくらいの発達が云々…ではなく、その子の発達、ひとりのこどもの無限の多様性のある発達を私たちは支え、ご家族と共に成長を喜んでいきたいと思います。こどもの発達を信じ、希望を持ち、精いっぱいの愛情を傾けながら日々を過ごしていきましょう。
(園長 横山 牧人)