2018年度2月の園長便り
小野省子さんという詩人の「おかあさん、どこ」という詩集を読みました。その中から二つ…
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「重み」
自分が少し悲しむと お母さんがすごく悲しむから
それがつらいと娘が言った
自分が泣いていると お母さんがすごく気にするから
それが嫌なんだと 私をにらんだ
あぁ こうして親たちは やわらかな手かせ足かせとなるのだろう
あたたかな鎖をからませるのだろう
多くの子供たちが その重みで 何かを思い直すのだろう
何かを思いとどまるのだろう 投げやりに進み始めた歩みは止めて
声をあげて引き返すのだろう
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「愛し続けていること」
いつかあなたも 母親に言えないことを 考えたりしたりするでしょう
その時は思い出してください あなたの母親も 子供には言えないことをずいぶんしました
作ったばかりの離乳食をひっくり返されて 何もわからないあなたの細い腕を思わず叩いたこともありました
あなたは驚いた眼で私をみつめ 小さな手を不安そうにもぞもぞさせていました
夜中、泣きやまないあなたを 布団の上にほったらかして ため息をつきながら ながめていたこともありました
あなたはぬくもりを求めいつまでも涙を流していました
私は母親として 自分をはずかしいと思いました だけど、苦しみにつぶされることはなかった
それは、小さなあなたが 私を愛し続けてくれたからです
だからもしいつか あなたが母親に言えないことを 考えたり、したりして つらい思いをすることがあったら 思い出してください
あなたに愛され続けて救われた私がいつまでもあなたを 愛し続けていることを
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「卒園」という言葉が過去と未来の間で浮かび上がってくる時、見えてくるのはやはり愛なんだと思います。 今年も年長さん達へ愛をもって卒園式を迎えたいと思います。
(園長 横山 牧人)