刃物とこども
青梅幼稚園は長い歴史を持っています。だから、幼稚園にある、引き出しや、机、椅子は年季の入ったものが多く、みんな大事に扱っています。
そんな中、職員室にあるテーブルの天板がでこぼこになってしまっていました。長い年月を経て、確かに表面はぼこぼこ。でも、使用され続けてきた貫禄というか味を持っていて、とても魅力を感じます。
そこで、子どもたちと一緒にテーブルを再生させることにしました。
線の上をまっすぐ…引くときに力を入れて…
塗装後のやすりがけ。うわぁ、すべすべ。
板は近所の大工さんが無償で提供してくれました。さらに、のこぎりも貸していただきました。その時、大工さんが「俺がガキの頃はいっつも小刀(こがたな)を持ち歩いていたよ。でも、それで大きな怪我をしたことはないし、他人を傷つけたこともない。むしろ危ない物の扱いを知ってた方が大人になってから役に立ったよ」と話してくれました。
いざ、作業を始めてみると…意外と(!?)みんな上手なんです。最初は力が入りすぎて、うまくのこぎりを動かせない事もありましたが、そこは学習能力の高い子どもたち。左右両手の力を均等に線の上をまっすぐ引くことを体で覚えてくると、どんどん切れていきました。
周りで見ている子たちも最初は切っているところへ手を出す子もいましたが、そのうち危ないものだとの認識をしてくれたようです。「木が切れるんだから手なんかあっという間に切れちゃうよ」と年長さんが年少さんに教えてくれていました。
なんでも危険なものを隠して、子どもから遠ざけてばかりいると、いざそれを目の前にした時、間違った使い方をしてしまうと大事故につながります。しかも、子どもたちはのこぎりのような危険なにおいを感じるものほど興味をもってやってきます。
ある年中さんの男の子で毎日毎日がんばってのこぎりをひいてくれた子がいました。「疲れない?」と聞くと「ううん。疲れるけど昨日よりいっぱい切れてるから、もうちょっとやる」
上手に扱えるようになると疲労度も、危険度も減るのですよね。子どももそれが楽しいと感じていたのではないでしょうか。(ま)
完成!味があるでしょ!