2022年度 09月の園長だより
「こころの安全基地」
「夏休み本来の目的は、暑さ対策と普段できないことを冒険し、自分の良さを発見することである。そこにはワクワク感が伴う。しかし、このワクワク感を阻害している要因は、なかなか終わらない学校からの宿題だ。夏休みは保護者の保護の下、こどもが自由に過ごし、好きなことにも挑戦できる時間である。そもそも、宿題は量をこなすことが目的ではなく、できるようになることが目的だ。従って、この夏から宿題の量を減らし、『こども自身が適性に応じて自由に選択し、取り組める方法』に切り替えた。(中略)好きなことに夢中に取り組める夏休みであってほしい。こども時代に自分で決めて、取り組んだ経験が「自信」を育んでいく。」
埼玉県の公立小学校校長先生が日本教育新聞に寄稿されていた文章の一部です。なんて素晴らしい学校なんだろうと思います。“自分で決めて、取り組んだ経験が「自信」を育んでいく”…本当にその通りだと思います。そしてこの方法によれば、こどもが決めたことを親も先生も尊重するということになります。このような こどもを信じようとする大人の姿勢はとても重要だと考えています。こどもの成長には「冒険」の要素は必要です。けれども、のびのびと冒険をするには安全基地が必要です。こどもが自分で決めたことを信じ、何かあったらいつでも戻って来れる、そんな安全基地がこどもの育つ環境には大切なのだと思います。この学校のこども達がどんな夏休みを過ごしたのか、後日談が気になります。
8月19日(金)に「卒園生の日」をおこないました。3年ぶりの開催となりましたが、小学校1年生~6年生の卒園生たち約30名とあまがさすの森~成木の家へ出かけました。森遊びの中では、沢での生き物探し、看板ペンキ塗り、秘密基地修復作業、スラックライン(綱渡りのようなもの)等、それぞれのこども達が自分の好きな遊びを自分たちの方法で楽しんでいました。どうやったら大きなカニを見つけられる?どうやったら綱渡りが上手にできる?このペンキの塗り方はどう?秘密基地の中に椅子を作ってみよう、のこぎり貸して!誰に何をいわれなくても試行錯誤しながら自分で決めた方法で遊びを展開する姿はとても生き生きとしていました。そして、周りの大人が「それでいいよ」と認めてくれる、そんな光景があちらこちらで見られていました。何ができる、できない、ではなく存在そのものが素晴らしいんだということを感じて欲しい、そのメッセージが先生達からこども達へ伝わっていたようにも見えました。お弁当を食べる前には「めぐみのかみさま」を歌い、食前の感謝をみんなで祈りました。何年振りかに聞いたであろうそのメロディや言葉を、やはりこども達は覚えていて「めっちゃ なつい!(とてもなつかしい!)」と嬉しそうでした。そんな表情を見ることができて、私たちも嬉しかったです。懐かしい思い出が「あたたかいもの」としてこども達の中にあるということを感じることができたからです。これからも「卒園生の日」は続けていきたいと思っています。そして、卒園した後もみんなのことを大好きでいるよ、ということを伝えていきたいと思います。今回参加できなかったお友達も次回には、参加できるといいですね。
さぁ、2学期が始まります。こども達の幼稚園時代が温かく輝く時代として思い出に残るように、精一杯保育にあたり、生活を通してこども達に愛を伝えていきたいと思います。保護者の皆様にもご協力をお願いすることがあると思いますが、今学期もよろしくお願いいたします。(園長)