2019年度1月の園長便り
「あの日 あのとき」
明けましておめでとうございます。
年末年始のあわただしさからひと段落した先日の日曜日、隠退牧師の老人ホーム「にじのいえ信愛荘」の礼拝に出席してきました。
とても静かな時間を過ごす中、おもむろに牧師先生が口を開きます。「みなさんには人生のターニングポイントと呼ぶべき あの日・あのとき があろうかと思います…」出席された方々はみなさん深くうなずいていました。人との出会いなのか、本や音楽との出会いなのか、または忘れられないできごとなのか…。牧師先生はゆっくりと続けます。「あの日、あのとき出会った、または起こったことは、人として自分を取り戻すための差し迫ったものだったのではないでしょうか…」ハッとして何かを思い起こしているような一瞬張り詰めた空気を感じました。私は、あの日 あのときはきっと今につながっているのだろうな…礼拝に出席されている方々(隠退された元牧師先生たち)の背中を見ながら、そんなことを思っていました。
どんな人にも自分を見失う危機は訪れるものだと思います。しかし、自分を取り戻すきっかけとなる差し迫った出来事も必ず用意されているものだと思います。だから、 あの日 あのとき…は多くの人が共感できるのでしょう。そして「自分」をしっかり持っていれば危機を脱し、新たな道を歩いていくことができるのだと思います。こども達は今まさに「自分」に気付き始めています。どんなに訓練しても「他の子」にはなれません。その子の持って生まれたそのままの「自分」(‟たましい”と言ってもいいかもしれません)を私たちはじゅうぶんに満たしてあげたいと思います。否定するのではなく受け止めてあげることによって、こどもの「自分」をより豊かにしていってほしいと思います。そして、いつか訪れるであろう危機を時間がかかったとしても乗り越えていってほしいと願っています。
今日という日が、過去を思い出のうちに、未来を憧れのうちに抱き包むように。(カリール・ジブラン「預言者」より)
自らを新たにする努力を怠らず、こども達とともに「自分」を豊かにしていける一年となりますように。
今年もよろしくお願いいたします。
(園長 横山 牧人)